ノコプロジェクトでの自転車発電の部品を探しに、四苦八苦していた時のこと。
オルタネーターとダイナモで発電するDC電源をACへと変換するためのインバーターがなかなか見つからずにいた。 
チャロティという、ムンバイ~アーメダバード~デリーを結ぶナショナルハイウェイ、大動脈のそばにあるちょっとした町の入口で、車のパーツ屋が集積しているところがある。とあるパーツ屋のおやじに、自転車発電の仕組みを説明しながら、インバーターについて話していた。すると、おもむろにおやじは言った。
「ほら、あそこ、目の前の店があるだろう。そこで働いているやつが、そういう自転車に乗ってんだわ」。
一体何の話をしているのか、理解が追い付かなかった。
え、自分で自転車をカスタマイズして、車輪を漕ぐと、ライトが点灯して、「しかも、音楽もなるんだぜ」。
なんだそりゃ・・・?!
ちょっと電話してみるか、とおやじは携帯を取り出した。
「おう、Rか。今どこだよ。村か。いやちょっとな、日本人が来てて、お前の自転車見たいんだとよ。なに?冗談じゃねーよ。こんな嘘でからかうわけないだろ。いいじゃないか、10分くらい顔出せよ。冗談じゃないって言ってるだろ。来るんだな。はいよ。というわけで、今から来るってよ」
この電話の間に、珍しがった周囲の人間が集まってきていた。口々に、Rの話をしている。なんだか、自転車の仕組みが変わったらしいが・・・想像が追い付かない。
15分ほど待っただろうか。「お、来たな」。ハイウェイの向こう側から、自転車に乗った人がゆっくりとやってくる。
赤い自転車にまたがった、赤シャツのおじさんが。赤い自転車は、音楽を鳴らしながら、泰然と近づいてきた。
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Rさんは、電気技師として働いていて、イベントなどでサウンドシステムのセッティングや、車の整備を仕事にしている人だった。元々の生まれはラジャスタン州だという。ラジャスターニー系の髭がそれを物語っている。
Rさんの愛車は、バッテリーを搭載し、普通の家庭用の電源から充電が可能。正面のライトはもちろん、車体全体がピカピカ光る。ちょっと複雑に配線されたスピーカーからはかなりの音量で音楽が鳴らせる。
「もともとは、自転車こいで充電できるようにしていたんだけどさ。タイヤの減りが早いから今はやってないわけよ。お、このダイナモ、いいな。これ今度日本から買ってきてくれない?」
と、フレンドリー。僕は内心かなり盛り上がっていた。自分のスキルを活かし、人生をおもしろ、楽しく。周りの人たちも楽しくしてしまう。そんなインド人に会えたのが嬉しかった。この自転車は相当な傑作!!
Rさんは、このあと、村で進めていたノコプロジェクトの現場にも赤い愛車で顔を出してくれた。これからも仲良くしたい人の一人。

okazu