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インドの足と言えば、これでしょう。
サイクルリキシャ。
「お一人さまから、一家五人まで、どこにでも連れていきます。荷運びもお任せ!」という頼れる市民の足。









ある日、ニューデリー駅からスーツケースを持って宿に移動した時のこと。
椅子の部分にスーツケースが載らず、背中側に乗せられた。(写真をよく見ると、背もたれの後ろにもスペースがあるでしょ、そこ)
「落ちるだろ、そこ。前に何とか載せるって」というと、
「絶対に、落ちない。責任はおれが持つ」と胸を張るリキシャのおっちゃん。
この道数十年、というような風格を漂わせる彼。何だか説得力がある。まぁそういうなら、と背中側に載せる。
動き出すリキシャ。おじさんの足は細く、とても僕と荷物を合わせて90kg近くを載せて走れるとは思えないのだが、体全身の筋肉を使って前へ進むエネルギーを作り出している。自転車レーサーになったら、ヒルクライムとか強いんじゃないだろうか。体を左右に揺らしながら山をストイックに登っていくおじさんの姿を妄想していると、スーツケースが道路に転がり落ちた。
「おいいいい!!!落ちないって言ったろうがー!!」と全力でツッコむも、おじさんの全力を込めた前へ進むエネルギーは簡単には静止しない。5m位先を行き、ようやく止まる。僕を振り返る。あれだけの自信を持っていたにも関わらず、落ちてしまった荷物。おじさんは何と言うのだろうか。
「・・・・・」無表情/ノーコメント。
「なんか言えよ」
  おじさんはスタスタとスーツケースを取りに行き、今度は僕の足を載せている部分に置いた。
「言ったじゃないか。どう責任をとってくれるんだ」と、一応、言ってみる。
「なんてことないって。大丈夫、心配するな。」
再び、立こぎでエネルギーをペダルに込めていく。何もなかったかのような雰囲気になる。
うん、そうだね、何言っても無駄だね。はじめに主張を押し通さなかった僕が悪いね。
と、こうやって何百度目かの“自然発生的インドレクチャー”をまた一つ宿すのであった。

「インドのおじさんの、“おれが責任を持つ”は、それほど頼りにならない。最終的には自分で判断しよう」 

あ、ちなみに、写真の若者リキシャーワーラーはデリーの町中を快走してくれた、ハニカミボーイ。
荷物を落とした人じゃないよ。すれきったおじさんリキシャーワーラーになるなよー!

okazu