ラダックで会ったS先生は、全く新しいタイプの学校の先生だった。
S先生は30代ながらも数校の公立学校で校長を務めてきた。
S先生と会ったのは、Earth Art Project 2014の開催場所を探していた時。
プロジェクトの説明を聞くとすぐに、「ぜひ、このプロジェクトを一緒に進めたいです。協力を惜しみません」と、賛同してくれた。プロジェクトが子どもたちにもたらすであろうことを、即座に感じ取ってくれた。
初対面からしばらくの間は、真面目で、大人しそうな人に見えた。
その時と、一プロジェクトを一緒にやり遂げた今では、150度ほど違ったほぼ真逆な印象を持っている。

S先生「大工仕事は私に全部任せておいて」
O「いやでもS先生忙しくなるだろうから、誰かに頼んだ方が!」
S先生「いいから任せておきなさいって!」
ただでさえ、毎日自分で皆のお茶を入れてから仕事するんだから、そんな時間ないでしょうに、という僕の主張は右耳から左耳に抜けていったようだ。結果、さっちゃん(記事:職人技参照)や他のokazu塾メンバーがなんとかしてくれた。

材料費を出し、学校で作ってもらった給食はベジフードだった。
S先生「ケチねぇ。たまにはチキンカレーにしましょうよ!」
O「予算がないったら、ないんですよ。無い袖は振れないんです」
「ジュレー」という僕への日常の挨拶のあとに彼女が続ける言葉は、「ケチンボ」になった。
僕は「ジュレー、おこりんぼ」と返すようになった。

エキシビション当日に、ラダック自治政府のトップを招待し、「行きますよ」という返事を2度もらっていた。
直前に念を押しに行くと、手のひらを返したかのように「来れない」ということになった。
S先生「怒りで頭が沸騰してるわよ!一発、ケリを入れてやるわ。これだからオフィサーってのは・・・」
O「ほんとに、どうかしてますね。他の場所で開催した時も~・・・」
と、オフィサー問題で意気投合した。

S先生「私はさ、昔はもっと活動的だったのよ。でも、もう疲れちゃって。人生に。太く短く生きる、それが一番ね」
エキセントリックな人だった。一緒に何かに取り組みたいと思える人だった。

出会ったときから、150度、変わった印象。
残りの30度、印象が変わらなかった部分。

S先生「私は、子どもたちの人生を駄目にしたくないの。正面から向き合って全力を尽くしたいのよ」
アツいんだ、この人。
学校での仕事が、どんなに頑張っても、頑張らなくても、給料が同じだからと、日々のルーチンワーク化している教師が多いインドで、S先生のような人に会うと、おっしゃー、自分も頑張ろうと励みになる。

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S先生の愛情は、子どもたちと同様に、家で飼っている牛たちにも注がれている。そのミルクで作られる、バター、ヨーグルト、ギー(精油)、チャイは最高にうまい。

okazu

photo by Tushar Vayeda